開催日時
2025年2月8日(土)16:30~18:30
開催場所
Amber(広島市中区本通5-11和光ダイヤモンドビル301)
主催
なんでも症例検討会
代表: 吉田 雄介 先生(広島大学病院 リウマチ・膠原病科)
参加者
合計:15名(初期研修医:0名、後期研修医:3名、卒後6-9年目の医師:4名、卒後10年目以上の医師:7名、医学生:1名)
実施内容
今回は症例検討2例+レクチャーでした。
症例検討の一例目は、安佐市民病院の中西雄先生から、70代男性の2週間前から持続する咳嗽、その後の吸気で増悪する右前胸部痛でした。
随伴症状として発熱もありますが、喀痰はなく身体所見上もcrackles聴取できず、定型肺炎や肺炎随伴性胸膜炎としては違和感のあるプレゼンテーションでした。
Sick contactや渡航歴はなく、ペットは犬を飼っているものの鳥との接触はなく、過敏性肺炎になるような抗原暴露もはっきりしません。
胸部X線では、右上肺野胸膜側にvanishing tumor様の陰影、両側CPA dull、右肺野の心陰影に近い部分にシルエットサイン陽性の陰影がありそうでした。
血液検査で炎症反応上昇以外に、特異的な異常所見なく、躯幹部CT検査で背側胸水の他にあったのは、右肺の心臓に接した部分に被包化されたような陰影でした。
各種検査で、細菌感染・ウイルス感染による漿膜炎が否定的であり、最終的にEpipericardial fat necrosis(EFN:心膜周囲脂肪壊死)と診断されました。
吉田もぱっと見でただのpericardial fatかと思って見逃してしまっていたので、原因のよくわからない胸痛ではEFNも鑑別に入れましょう!
二例目は、安佐市民病院の辻健太郎先生より、食後を中心とした嘔気、体重減少を呈した10代女性の症例でした。
紹介元の消化器内科で既に胃カメラ、腹部エコーなど施行され、異常なしということだったので、神経性食思不振症もありうる状況ですが、まずは身体疾患の鑑別を行いました。
患者背景として特に服薬はなく、もともと運動部に所属されていたようです。
妊娠、副腎不全、SMA症候群、食道アカラシア、好酸球性胃腸症・好酸球性胆嚢炎、機能性ディスペプシア(FD)、正中弓状靭帯圧迫症候群、消化管アミロイドーシス、高安動脈炎などの大型血管病によるSMA狭窄など鑑別にあがりました。
血液検査や躯幹部CT検査でやはり器質的疾患がなく、鑑別に上がった中ではFDが残りましたが、最終診断は、胃不全麻痺でした。
背景疾患は特定できていませんが、消化管蠕動促進薬で症状改善したようで見事な診断でした。
最後に洛和会丸太町病院の吉川聡司先生より、「臨床所見と合わせて読影すればなんとかなることもある」というタイトルで、とっても濃い9症例を提示していただきながら読影のポイントを教えていただきました。
おそらく画像のみでは異常に気付けず、到底診断できそうにない症例達でしたが、言われるとおりに病歴を踏まえるとMTX-LPDまで予想できる小腸穿孔、徐脈になっているために造影CTでも診断できるNSTEMI、酸素化不良が体勢で変わっていること+亀背+CTでの右心系の形から気づけるPlatypnea orthodeoxia syndromeなど、とっても興味深く、楽しく読影ポイントを学ぶことができました。
主催者からの声
なんでも症例検討会はWEBもしくはハイブリッド形式で開催しています。
参加者は後期研修医以降の先生が多いものの、学生や初期研修医の方々も可能ですので、ぜひご参加ください。
メーリングリスト参加ご希望の方は中西(y_nakanishi0520@yahoo.co.jp)までご連絡ください。
参加者の声
今回の症例提示はいかがでしたか?
「EFNは聞いたことがない疾患だったので診療に活かすことができそうです。」
「スライドも洗練されてるし、勉強になります。」
「非典型例とはいえEFNであのCRPと胸水は驚きしました。抗生剤入れなかったのはすごいなと思いました。」
「めっちゃ勉強になりました。意外といるかもしれないかと。診断をつける姿勢が素晴らしかったです。」
今回のレクチャーはいかがでしたか?
「最後の文献が過去にないで終わらず新しいアイデアがないかを探す姿勢が大事という話に感銘を受けました。」
「画像は丁寧に読まないといけないなと再認識できました。」
「いつも勉強になります、狙いを持ちつつも柔軟に見ることの大切さを痛感しました。」
「いつもながら画像だけじゃなく話のレベル高いです。」
「圧倒されました。自分は大体知らなかったです。」
参加者へのメッセージ
若手からベテランまで様々な場所で仕事をしているメンバーで、毎回少しでもレベルアップできることを目標に開催しています。
意欲のある方は是非気軽に参加してみてください。
次回開催に向けて
次回の日程は、2025年8月頃に現地+WEBのハイブリッドで開催予定です。メーリングリストやFacebookなどでも情報を流しますのでご確認ください。
また、症例提示していただける方を募集しますので、ご協力いただける方は中西(y_nakanishi0520@yahoo.co.jp)までご連絡ください。
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