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医師インタビュー(広島市立北部医療センター安佐市民病院:原田 和歌子先生【後半】)

ひろしまで活躍する医師の、生の声をご紹介!医師インタビュー

安佐市民病院の総合診療科でのご経験について教えてください。

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外来診療ではどんな疾患の患者さんもまずは断らずに診ようと決めていたので、時には看護師さんに「この患者さんも診るんですか!?」と驚かれることもあるくらいでした。でも私1人の診療では限界があり、高齢者人口が今後も増加し続けることを考えると、より多くの医師が総合診療に携われるようになれば、もっともっと社会に貢献できるはずだと思ったんです。
また、高齢者の救急のニーズが非常に高いことも実感していたので、救急総合診療体制の中で、専攻医や研修医の若い先生たちと一緒になって救急の初期対応や初療に取り組むことができれば、私が義務年限中に地域で勉強させてもらったようなことを、指導医に学びながら経験する場が作れるのではないかと思ったんです。そのような経緯から2014年に循環器内科等多くの先生方の応援と支援のもと、安佐市民病院に救急総合診療体制を立ち上げ、これに伴い「安佐市民病院内科プログラム」と「総合診療専門医プログラム」(※)がスタートしました。
※現在の「総合診療専門研修プログラム」

総合診療専門研修プログラムにはどのような特徴がありますか。

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安佐市民病院の救急には、疾患に偏りなく多種多様な患者さんが運ばれてくるため、疾患頻度に応じた対応ができます。またホスピタリストとして、重症複雑症例や多疾患併存症例、病態が不明な症例などの入院管理も、総合診療科が担っています。ですから、救急の初療から入院管理、さらに慢性期、外来まで、1人の患者さんに対して病気はもちろんのこと、退院後の社会生活も見据えて、多職種のチームで連携しながら最後まで責任を持って診るという体験ができます。
指導医・専攻医・研修医のチーム主治医制を基本とし、朝は全員回診、全員カンファレンスを行なって情報共有し、治療方針を密に話し合っています。地域の病院や診療所とも毎週ウェブミーティングで意見交換を行っており、より幅広い症例を学べる環境といえます。私の後輩である自治医科大学の卒業生も、初期臨床研修後にまずは1年間、ここでさまざまな症例に対応できるようになってから、地域へ出ることになっています。私の時代は、極端な表現になりますが「いきなり地域に放り出される」という不安があったので、その不安を払拭したいという思いもプログラムに反映させています。2023年度は、指導医4人、3〜5年目の医師7人のチームで取り組みました。

総合診療医としてのやりがい、楽しさはどのようなことですか。

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どのような疾患であっても、辛い思いをされている目の前の患者さんに対して、何かしら処置や治療ができる知識と技術を持ち、助けられる命を助け、寄り添うことができるのは、医者冥利に尽きるなぁと思います。経験の浅いうちは、求められることに応じられるのか不安でしたが、その不安はいつの間にか無くなりました。途中から楽しさになり、現在までずっと変わらず楽しいままです。もちろん、より高い専門性が必要な場合も多いので、スペシャリストの先生方が処置をしてくださるからこそ総合医としての仕事ができるわけですが、そういう見極めも若い時に比べたらできるようになったので、患者さんのお役に立てたという実感を得ることができます。
助けられない命だったとしても、そうした見通しをご家族にお伝えし、何が患者さんにとって最善なのかを考えながら、医師として残りの時間に向き合うことができます。亡くなっていく患者さんやご家族に向き合うのは重たいことですが、最期まで関わり、信頼関係を築けることも、私にとっての喜びです。

ワークライフバランスという観点ではいかがでしょうか。

地域住民の方々の暮らしを医療の側面からサポートすることが、私たちの使命です。その使命を果たすためにも、医師がワークライフバランスを保ち、楽しく誇りを持って働き続けることを大切にしたいと考えています。休暇のときには他のメンバーで担当を分担できるよう、普段から全員回診・全員カンファレンスでしっかりと情報共有を図っていますし、待機制をとるようになりましたので、待機ではない日は基本的には夜間の呼び出しもほとんどありません。工夫しながらではありますが、年休などの有給休暇も取得できる体制となり、家庭や趣味など、プライベートも大事にできる就業環境といえます。

最後に、総合診療に興味のある若手医師や医学生にメッセージをお願いします。

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日本は超高齢社会であり多死社会ですから、総合医であれば、どうしても生死の境目に多く遭遇すると思います。そうした怖さは、内科・総合診療専門研修プログラムでの学びを通して、仲間と共に学ぶ楽しさの中で克服できます。ここでの学びは、プログラム終了後にどのようなキャリアを選ぶにしても、これからの社会課題に対応した医師になるために、必ず役立つと確信しています。
実際、ここを卒業された医師の皆さんは各方面で活躍しておられるので、頼もしい限りです。今後ますます総合医のニーズが高まっていく中で、私たちが地域社会に貢献できることは非常に大きいと感じています。ぜひ、より多くの若手医師の皆さんに私たちの仲間になっていただき、共に総合医という誇りある仕事に挑戦してもらいたいと思っています。

 
(2023年12月)

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