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医師インタビュー(広島県立総合精神保健福祉センター 所長 佐伯 真由美先生)

ひろしまで活躍する医師の、生の声をご紹介!医師インタビュー

地域で奮闘する福祉職への支援を通して
精神科医として行政に携わる意義を感じている。

広島県立総合精神保健福祉センター 所長
佐伯 真由美 先生

プロフィール

広島県出身

1988年
広島大学医学部医学科卒業、医師免許取得
広島大学医学部附属病院 精神科(研修医)
1989年
国立福山病院(現:国立病院機構 福山医療センター)精神科(研修医)
1990年
加計町国民健康保険病院(現:安芸太田病院)精神科
1991年
国立呉病院(現:国立病院機構 呉医療センター)精神科(レジデント)
1993年
広島大学医学部附属病院 精神科(助手)
1997年
広島静養院(現:府中みくまり病院) 精神科
2004年
広島県立総合精神保健福祉センター
2013年
広島県立総合精神保健福祉センター 所長就任

(指導医・専門医認定)

1994年
精神保健指定医
2007年
精神科専門医制度指導医
2008年
精神科専門医
2015年
日本医師会認定産業医
2018年
社会医学系専門医及び指導医

写真1

精神科医を目指した経緯を教えてください。

もともと基礎医学に興味があったので、医学部に入った当初は、あまり医師になりたいとは思っていませんでした。進路が定まらない状況の中、ある先生から「せっかく医学部に入ったのだから、臨床医をやってみるのもいいんじゃない?」と言われたことがきっかけで、悩みながらも臨床医の道に舵を切りました。
私が研修医の頃は、今のようなスーパーローテーションもなかった時代。精神科を選んだのも、卒業のタイミングで一番興味があったのが精神科だったから、という、ぼんやりとした理由だったと思います。

医師としてのキャリアの中で、印象に残っていることはありますか?

3年目のときに、山間地域にある加計町国民健康保険病院(現在の安芸太田病院)へ異動になりました。その前は福山市で勤務していたので、最初は「まだ広島市に戻れないんだな」と、あまり気乗りしなかったことを覚えています。でもいざ勤め始めると、コメディカルのスタッフさんや事務員さんには地域に根ざしておられる方が多く、患者さんとも地域の一員として関わっておられたことで、私も臨床医としての楽しさや、やりがいに気づくことができました。それ以前の私は、医師として駆け出しで余裕がなかったこともあり、患者さんの病気の部分だけしか見られていなかったのだと思います。医師と患者という関係だけではない、人と人との関わりの楽しさを感じることができ、「臨床をやってよかった。これからも臨床をやりたい」と思うようになりました。今振り返ってみると、私の転機だったかもしれませんね。

現在の勤務先である「広島県立総合精神保健福祉センター」について教えてください。

写真2

当センターは、精神保健の向上や精神障害者に対する福祉のバックアップを目的として、広島県が設置しています。相談業務のほか、主に県内各市町の地域で、精神障害の方々を支援する保健所や、医療、教育機関等、福祉に関わる職員の方々を対象とした研修を実施しています。研修以外にもご要望に応じて、各地域に出向いて、事例検討等の技術支援も行います。まだ地域には浸透していない先進的な知見を発信していくことも、当センターの役割だと考えています。

精神科医として、行政の仕事に携わられて、いかがですか?

写真2

こういった行政の取り組みは、一般的にはあまり知られていないため、私自身も当初は何をするところなのか分からず、戸惑いもありました。しかしここに来たからこそ学べたことや、ここでしかできない取り組みも多く、精神科医として行政に携わる意義を感じています。
例えば一般的な病院では、まずは患者さんに病院に来てもらわなければ医療行為ができませんが、ひきこもりの方は、病院に来られないわけです。依存症の方も、本人を医療機関につなぐことが難しいため、なかなか医療の支援が届きません。私が病院で診ていた患者さんはごく一部であり、病院には来られないけど困っている方が、いかに多いかということを実感しています。そして、医療が届きにくい方々を支えているのは、地域の様々な支援者だということを知りました。そういった地域で奮闘する方々へのバックアップは、行政の立場だからできることではないでしょうか。

平成30年7月豪雨の際の「DPAT」(災害派遣精神医療チーム)の活動についても教えてください。

土砂崩れなどの深刻な被害が7月6日発生し、その翌日には、被災地域で精神科医療および精神保健活動の支援を担う「DPAT」の活動を開始しました。私は県庁に設置された本部に詰めて、支援が必要なところへチームを派遣する活動を行いました。
本当に困っているところほど「困っている!」という発信ができず、支援が届きにくいということが過去の被災地でも起こったので、現場の保健師さんや看護師さんたちから届く情報を整理し、関係各所との連携に努めました。現在はDPATの活動を「こころのケアチーム」として引き継ぎ、長い目で被災者の方に寄り添った支援が行えるように取り組んでいます。

仕事とプライベートとの両立はできていますか?

そうですね。私がこちらのセンターに着任したのは、子どもが幼稚園の年長の頃でした。子育て中のほとんどの期間、こちらで勤務していたことになります。ここでは業務上、定時で帰れることが多いですし、時間外勤務があったとしても事前に分かり、予定が立てやすいので、大変働きやすいと感じています。学校行事等にも無理なく参加できたのは、本当にありがたいことですね。

最後に、医学生や若手医師の方にメッセージをお願いします。

お話ししたように、私は特に「これをしたい!」という強い思いがあって医師になったわけではありません。しかし医師という仕事は、与えられた環境でいろんな魅力ややりがいを感じることができます。
進路のことで迷ったり焦ったりすることもあると思いますが、目の前のことや与えられたことに向きあう中で道を探るのも、一つの選択肢だと思います。前向きにがんばってくださいね!

写真3

 
(2019年9月)



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