第3回 弥山に学ぶ会
開催日時
平成31(2019)年1月26日(土) 13:00~18:15
開催場所
JA広島総合病院 管理棟 3階 大会議室
主催
弥山に学ぶ会
代表: 溝岡 雅文 先生(JA広島総合病院 総合診療科)
参加者
31名(初期研修医7名,後期研修医11名,指導医5名,薬剤師3名・薬学生5名) 県外9名
内容・主催者からの声
“EBMの伝道師”の東京北医療センターの南郷栄秀先生と,お弟子さんである青梅市立総合病院渡辺研太朗先生をお招きし,EBMの初心者コース(RCTの批判的吟味)を開催した。
提示したシナリオは,「ICUに入院した尿路感染症による敗血症性ショックの高齢女性に,ストレス潰瘍予防は必要かどうか」という場面から,EBMのステップに従い,(1)PICO立て,(2)文献検索,(3)情報の吟味,(4)情報の目の前の患者への適応について,講義とグループディスカッションが行われた。
文献検索では,UpToDate,DynamedPlus で検索法を案内された。「集中治療室,重症患者での潰瘍予防」が参加者の欲しい情報であり,効率良い検索,解釈の仕方や,英語と格闘せずに目を通すコツを伝授された。皆で吟味する論文は,最近発刊された「Pantoprazole in patients at risk for gastrointestinal bleeding in the ICU. N Eng J Med. 2018;379:2199.」を課題とした。
研究は,3,000人を超えるICU重症患者(死亡率約30%)の多施設研究で,プライマリ・アウトカムの90日後の死亡率は予防投与の有無で差はなかった。セカンダリ・アウトカムでは予防群で消化管出血が2.5%(予防なし群は4.2%)と有意に減少させていた(RRは0.58)。
これらの情報を踏まえて,目の前のシナリオの患者に,ストレス潰瘍予防をどうするかということがグループでティスカッションした。予防投与の効果,負担(費用,身体的負担,有害事象)や,出血したときの負担・影響なども考慮しながら検討された。シナリオの症例は,提示された研究の対象群よりも年齢,内服薬などを踏まえても出血リスクが高そうであり,なんらかのストレス潰瘍予防をすべきという声が多勢を占めた。PPIの静注よりは,安い内服薬の使用やH2ブロッカーでの代用,早期の経腸栄養などの導入しようという意見も出て,多彩な視点からの意見が交わされ,盛会のうちにワークショップを終了した。
参加者の声
- 論文の読み方のテクニックを知れたらと思って参加しました。とても楽しく取り組めてみんなの意見がきけていい刺激になりました。
- 彼女と遊ぶより良かったです(笑) ありがとうございました。
- 情報検索が分かりやすかったです。チューターの先生の知識が豊富でディスカッションが盛り上がりました。
- 4年前の広島大学でのワークショップに参加して,再度知識のブラッシュアップのため参加しました。クリニカルクエスチョンから論文の吟味まで体系的に学べました。活発なディスカッションを行えてよかったです。
- 一から教えていただいたので,理解したつもりの部分の解釈が深まり,目から鱗でございました。最初は学生が自分一人しかいなかったので発言しにくかったが,お医者さんが発言を促してくださったのでやりやすかった。
参加者へのメッセージ
東京,大阪,福岡からの医師の参加もあり,活発な議論が行われました。長時間の議論のなかで,感じたこと,学んだことを実地の臨床に活かし,周囲の方々へも広げていっていただくことを願っております。
次回開催に向けて
2018年度の研修事業は盛会のうちに終えることができました。
2回のEBMワークショップだけでは,まだまだ周知不足のところもありますので,修行僧のごとく毎年修練を続けていけるように場の提供を企画していきたいと思います。
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