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第3回広島がん薬物療法研修会が開催されました!

開催日時    平成27年2月20日(金) 19:00~21:30

開催場所    広島シェラトンホテル・3F 美波

主催       広島がん薬物療法研究会 代表 篠崎 勝則 (所属:県立広島病院 臨床腫瘍科)

参加者      61名(医学生:0名,初期研修医:0名,医師:32名,薬剤師:8名,看護師20名,その他:1名)

 

 

【特別講演1】「高齢者の化学療法:高齢者研究の考え方 本邦の現状と課題」

演者:長島文夫先生(杏林大学医学部腫瘍内科学 准教授 )

 

多様な背景をもつ高齢がん患者に対して、非高齢がんで確立している標準治療を実施できるかどうかは、がん腫や治療モダリティによって異なる。JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)では、高齢がんを対象とした臨床研究の考え方を整理すべく、高齢者研究小委員会を2014年に立ち上げた。本委員会では、(1)高齢者/虚弱者の定義をがん治療の視点から整理、(2)JCOG試験において高齢者/虚弱者をスクリーニングする実際的なツールを検討、(3)高齢がんの研究ポリシーをまとめることを目標としている。国際老年腫瘍学会やEORTCなどと連携し、老年医学の考え方を反映させながら検討を進めている。一方、国内の高齢がん診療の現状を把握するためには、院内がん登録とDPCデータをリンクさせて、大規模なデータ収集も可能で、本邦における高齢がん臨床研究の現状と課題について解説したい。

 

【特別講演2】「高齢がん患者に対する化学療法の実際」

演者:田村和夫先生(福岡大学医学部腫瘍・血液・感染症内科学 教授)

 

がんは高齢者の慢性の疾患である。すなわち団塊の世代が高齢者の仲間入りし始めたこれから高齢者がん患者の急速な増加を覚悟しなければならない。高齢者の特徴は、余命が短いこと、心身の脆弱性と社会経済的にも弱者であること、そして何よりも個人差が大きいことである。したがって、高齢者を診療するにあたっては、これらの課題を包括的に評価し、がん治療の副作用の予測、治療法ならびに治療強度の選択、最終的には予後の予測ができるような指標を作成しなければならない。すなわち、過剰な治療は許容できない毒性の発現を招き、反対に過少治療は奏効率の低下をもたらす。
悪性リンパ腫は、潜在的には化学療法のみで治癒が可能な腫瘍であり、安易な治療強度の低下が治癒率を下げる可能性があって、高齢がん患者の化学療法の指針を検討するには良いモデルである。本講演では、高齢悪性リンパ腫の治療成績から高齢者の化学療法に対する忍容性と予後について解析・報告する。がん種により当然、腫瘍のバイオロジーが異なり、治療に対する反応性も予後も異なることから、他のがん種それぞれにおいて同様の研究を実施し、すべてのがん共通の評価項目を抽出し、それを基本にしてがん種ごとの特異な評価項目を加え、これから増えるであろう高齢がん患者の診療指針を早急に創出する必要がある。 

 

実施内容の詳細

急速な高齢人口の増加に伴う高齢のがん患者の急増により、がんの平均罹患年齢は60歳を超える。化学療法でも高齢者の数が増加している。高齢者においては身体機能の低下や併存する疾患等から有害事象の発生率が高くなる。そのため若年者とは異なった高齢者の特性を踏まえた適切な治療法や用量設定などが必要になるが、現時点では確立していない。今回は「高齢者の化学療法」をテーマとした。到達目標は高齢者のがん医療をとりまく環境や問題を情報共有し、化学療法に従事する我々医療者がこうした問題点を捉えてどのように協働すべきかを考えることであった。
長嶋文雄先生のご講演を通して、高齢者/虚弱者をスクリーニングする実践的なツールを紹介いただき、JCOGでの考え方、今後の方向性として院内がん登録とDPCデータをリンクさせて高齢がん診療の現状把握のあり方を勉強した。
田村和夫先生のご講演を通して、高齢悪性リンパ腫の治療成績から高齢者の化学療法に対する忍容性と予後についての解析・報告を拝聴し、過剰な治療は許容できない毒性の発現を招き、反対に過少治療は奏効率の低下をもたらすことを勉強した。また、がん種により腫瘍のバイオロジーが異なり、治療に対する反応性も予後も異なることから、他のがん種それぞれにおいて同様の研究を実施し、すべてのがん共通の評価項目を抽出し、それを基本にしてがん種ごとの特異な評価項目を加えて、高齢がん患者の診療指針を早急に創出する必要があると痛感した。
最後に会場を交えてのディスカッションを実施し、高齢者/虚弱者のスクリーニングでは機能評価ツールの確立のためにも看護師等の協力が必要不可欠であることで見解が一致したが、こうしたチーム医療を各病院でどう実践するか、実践できるかが今後の課題と考えられた。

 

  

 

  

 

 

 主催者からの声

参加者数は61名、同日に広島大学病院にてがん医療従事者研修会研究会も開催されたことから広島大学病院からの参加者はなかった。
講演後にアンケート調査を実施した。回収率は48%と低かった。回収できた29名は、医師16名 薬剤師2名 看護師11名であった。講演と質疑応答やディスカッションが2時間30分に及び、休憩時間もなく、十分な記載時間が確保できなかったことが原因と考えられた。
回答内容からは、高齢者/虚弱者をスクリーニングする実践的なツール(CGA)をはじめて知ったという感想もあったが、29名の回答のうち4名にCGAを実践したいという意見がみられた。[チームとして高齢者の評価を行い、適切な化学療法を提供する]といった見解は、すべての医療者に一致していた。各病院でどう実践するか、実践できるかが今後の改題と考えられる。


本会の感想については、回答者20名中19名(95%)に、以下のような感想であり、本会が意義のあるものであったと考えられた。

・医師から:「大変勉強になった」、「有害事象やリスクを評価するツールがあることを初めて知った」、「高齢者における化学療法の研究の方向性ならびに実臨床について多くのことを学んだ」
・看護師から:「勉強になった」、「高齢者に対する考え方が広がった」、「評価方法を知った」
・薬剤師から:「臨床現場への評価ツールの導入が必要と感じた」

 

以下にアンケートの質問とその回答について記載する。

 

高齢者の化学療法において、各職種としての立場から、どう協働するのが良いと思いますか?

・ 医師8名記載:チーム医療として共有した患者情報に基づき患者個別のQOL重視の化学療法の実施、その内の2名はCGSツールの利用や有効性の検証が必要と言及していた。
・看護師7名記載:5名は患者の有害事象の早期発見や患者視点での治療を考えるための多種職種カンファレンスの必要性、2名は共通のツールを用いた高齢者評価の実施。
・薬剤師1名記載:1名は全人的視点に立った評価の実施と得られた情報を医師にフィードバック

 

高齢者の化学療法において、自分と異なる職種(具体的に記入してください)に求める事は?

・医師10名記載:看護師にサポートしてほしい(100%)、そのうち患者の情報提供やCGAスクリーニングへの協力が60%を占めていた。
・看護師9名記載:5名(56%)が医師の実施する化学療法に疑問を抱いていた、2名は減量や中止すべきケースがあるのではないかという意見、3名は患者の意思決定には多種職種で実施すべきとの意見であった。その他、他職種による薬剤アドヒアランスの確認、生活支援、リハビリテーションの介入といった点であった。
・薬剤師2名記載:看護師が患者背景を把握し、その情報をもとに医師が患者にあった適正な化学療法を実施する。

 

今回の研究会についての感想

回収した29名中9名は無回答であった。回答者20名中19名(95%)は、以下のような感想であり、本会が意義のあるものであったと考えられる。

 ・医師から:「大変勉強になった」、「有害事象やリスクを評価するツールがあることを初めて知った」、「高齢者における化学療法の研究の方向性ならびに実臨床について多くのことを学んだ」
・看護師から:「勉強になった」、「高齢者に対する考え方が広がった」、「評価方法を知った」
・薬剤師から:「臨床現場への評価ツールの導入が必要と感じた」
一方、「総論的過ぎてあまり感銘がなかった」(医師1名)、「患者の本当に臨んでいる生き方を知る事が大事」(看護師1名)といった感想もあった。
 

 

参加者の声

今回の研究会についての感想

回収した29名中9名は無回答であった。回答者20名中19名(95%)は、以下のような感想であり、本会が意義のあるものであったと考えられる。
医師から:「大変勉強になった」、「有害事象やリスクを評価するツールがあることを初めて知った」、「高齢者における化学療法の研究の方向性ならびに実臨床について多くのことを学んだ」
看護師から:「勉強になった」、「高齢者に対する考え方が広がった」、「評価方法を知った」
薬剤師から:「臨床現場への評価ツールの導入が必要と感じた」
一方、「総論的過ぎてあまり感銘がなかった」(医師1名)、「患者の本当に臨んでいる生き方を知る事が大事」(看護師1名)といった感想もあった。
 

 

参加者へのメッセージ

急速な高齢人口の増加に伴う高齢のがん患者の急増により、がんの平均罹患年齢は60歳を超え、化学療法においても高齢者の数が増加しています。高齢者においては身体機能の低下や併存する疾患等から有害事象の発生率が高くなります。そのため若年者とは異なった高齢者の特性を踏まえた適切な治療法や用量設定などが必要になります。過剰な治療は許容できない毒性の発現を招き、反対に過少治療は奏効率の低下をもたらすと考えられます。しかしながら高齢者における化学療法に関してエビデンスが乏しいのが現状です。
本研究会では、様々なCGA (Comprehensive Geriatric Assessment) ツールと其々の特性、こうしたツールを利用する意義について勉強しました。また、多種多様な高齢者に化学療法を実施する場合には、患者個々の特性に合わせた最適な化学療法を提供することが必要であると痛感しました。今後各病院においてそれぞれの意思、看護師、薬剤師等が、高齢者の化学療法においてどう協働すべきかをお考えいただけたと信じています。広島県のがん化学療法の質の向上とその均霑化のためにこれからもよろしくお願いいたします。

 

 

次回開催に向けて 

「今後,参加しますか」という問いには、参加したい21名(72%)、どちらとも言えない 3名(10%)、参加しない 0名(0%)、無回答 5名(17%)であった。次年度も継続して実施したい。
「今後のテーマとして何を期待するか」という問いには、各職種で意見が分かれた。1)緩和ケアへの移行タイミング(医師3名)、2)分子標的薬、免疫療法(医師1名)、3)JSCC(日本臨床心理カウンセリング協会)の活動(看護師1名)、4)化学放射線療法、医療経済(看護師1名)、5)精神腫瘍学、悪液質、オンコロジック・エマージェンシー(薬剤師1名)。次回のテーマは広島がん薬物療法研究会内で調整する予定である。
 次年度は第4回広島がん薬物療法研究会(本会)と、分会として医学生・研修医のための腫瘍内科セミナーを実施できるように調整したい。また、十分なディスカッションやアンケート調査も実施できるように、土曜日午後の開催を検討したい。

  


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