今回から何回かにかけて、排泄の自立について書きたいと思います。
子どもにとって、排泄が自立するということは、人生の中でも一大イベントのようです。
そして、子育て支援センターでの相談件数が多いのも排泄についてです。
お母さん、お父さんにとっても早く取れてほしいけど、いったいどうやって取ったらいいの?と思われることのようです。
最近は、「保育園がやってくれるから、早く保育園に行かせばいい」と言われる方もいらっしゃって、保育者としては苦笑してしまいます。
保育園では、自分で排泄できるという結果だけではなく、そこに至るまでの過程を大切にしています。
保育者は「排泄はとても繊細なこと」と捉えていて、排泄が自立するまでに、「自分のことは自分で決める」ということを学んでいると考えています。
ですから、どんなに小さくても子どもの人格を尊重しながら声をかけ、子どもが決める機会をしっかりと確保しようと努力しています。(そういう努力をしている園を私は尊敬しています)
0歳の時、おしめを替える前に、「今からおしめ替えるね」と声をかけます。まだわからないと思うような赤ちゃんでも、ちゃんと聞いています。
おしめを替える時に、「おしりをあげてね」といいながら替えていると、そのうち体を自分で調整できるようになり、自分でおしりを上げてくれるようになります。
その時には、「お手伝いしてくれてありがとう」と保育者は声をかけます。
そのようなことを毎回、毎回、勤務の都合がつく限り、できるだけ同じ担当者が行います。
排泄と食事は、子どもにとって本当に繊細な問題です。子どもは、信頼した人におしめを替えてもらい、食事を食べさせてもらいたいのです。
その証拠に、人手がなくて、たまたまお手伝いに入った人がおしめを替えようとすると、子どもはとても不安がったり、嫌がったりします。
そのような丁寧な関わりがベースとなって、「おしめはずれ」が始まります。
大人がおしめをはずす「おしめはずし」でもなく、トレーニングをする「トイレットトレーニング」でもないのです。子どもが養育者との関係性の中で、その養育者を信頼した時、「トイレでおしっこしよう」と決めるのです。
この話は次回に続きます。
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