開催日時
平成26年1月4日~平成26年1月5日
開催場所
広島大学 広仁会館2階 大会議室
主催
感染症セミナー広島 代表 溝岡 雅文(広島大学総合内科総合診療科)
参加者
28名(医学生:5名,初期研修医:6名,指導医など:13名,薬学部学生:4名) 広島県外4名
実施内容の詳細
講師
南郷栄秀先生(東京北社会保険病院)
チューター
児玉崇志先生(東京北社会保険病院) 久保田希先生(安房地域医療センター) 佐々木順一先生(広島国際大学薬学部) 桑原秀徳先生(瀬野川病院)
1月4日
14:00~18:00 原著論文の批判的吟味
18:00~20:00 EBMスタイル情報検索
1月5日
9:00~12:00 診断で使うEBM
主催者からの声
正月休み中にもかかわらず,約30人の医師,薬剤師が広仁会館に集まり,2日間にわたるワークショップが開始された。
参加者は4つのグループに分かれ,各グループに1人のチューターがついて,南郷先生の講義→チューターの指導の下にグループワーク→グループ発表→南郷先生の総括というような形式で進行していった。
セッション1では, Evidence based medicine(EBM)の基本の講義があり,Step(1)疑問の定式化,(2)疑問についての情報収集,(3)得られた情報の批判的吟味,(4)患者への適応,(5) (1)~(4)のStepの評価の五段階からなることが紹介され,今回のワークショップでは(1)~(4)を体験しながら学んでいくことが示された。また,EBMは誤解されがちであるが,エビデンス(文献)などだけではなく医師の経験や患者の好みなども考慮して決まっていくものであることを強調されていた。
まずは,病院の入院患者で偽膜性腸炎をおこした症例を提示し,(1)疑問の定式化(PECO作成)についてグループワークを行った。次の文献の検索はセッション2に任せ,偽膜性腸炎の予防する整腸剤についてのシステマティックレビューを全員で批判的吟味することになった。南郷先生のオリジナルの“はじめてレビューシート”を参考にしながら,南郷先生のミニレクチャー,グループワークでのチューターのアドバイスなどを受けながら,参加者は約3時間文献を読み込んだ。残った時間で実際に眼の前の患者さんに整腸剤を投与するか,どうかをどのような視点から考えればよいかを「はじめてアプリシート」を用いて検討した。様々な意見が交わされたが,整腸剤の効果が十分とは言えないが,副作用もなく,容易に処方できるものなので偽膜性腸炎の予防として投与したいという意見が多くみられた。あっという間の4時間であった。
セッション2では,南郷先生と児玉先生の師弟コンビの寸劇からはじまり,情報過多の時代,どう安く早くうまく文献を検索できるかが重要と説明され,二次資料媒体であるUpToDateやDyanaMedを自分のPCを使いながら,個々で作業を行った。英語の壁を取り払う秘伝も公開され,参加者一同は喜んでいた。
5日は朝9時からセッション3の診断についてのワークショップが行われた。
感度特異度,事前確率から事後確率の計算など数字を扱うセッションであった.講義の小見出しが(1)かんの話,(2)算数のお時間,(3)お医者さんごっこ,(4) 激辛ラーメン,(5)4輪駆動で行こうと興味をそそるようなタイトルがついていた。実際に尤度比,オッズの計算などもしながら,肺塞栓のアルゴリズムを各グループに考えさせるというワークもあり,参加者達は悪戦苦闘しながらどうにかプロダクトを作り発表していた。日常診療ではアルゴリズムまで作成することはないのだが,この過程を考えることで感度,特異度,尤度比についての理解が深まっているようであった。
最後に,児玉先生と久保田先生から,論理的診察の技術とMcGeeの使い方の簡単なレクチャーが行われた。
2日間の長丁場であったが,誰一人寝る参加者もなく,盛会のうちに研修会を終了した。
参加者の声
・日頃EBMを全く実践せず,ちょっと小耳にはさんだことをすぐ鵜呑みにしてやってしまうのを正すために参加したのですが,笑いあり,ブレイクありで,長丁場ながら負担なく参加できました。チューターの方ができない人にも手とり足とり丁寧に教えてくださりありがたかったです。
・はじめて聞くことが多くて新鮮でした。
・検査は知っていてもその有用性までは考えたことがなかった。新しい出会いをした感じ.楽しい2日間でした。来年以降も忘れずにこの考え方を持ち続けたいです。
・難しかったですが,面白かったです。医師の話が聞けたのが良かったです(薬剤師)。面白く楽しいワークショップでした。何回も繰り返して聞きたいです。もっと学びたい。
・積極的にみんなが意見を言えていて,様々な情報が出ていたので,自分の思っていない意見もあってよかった。
・診断をしていくのに,除外と確定と考えていくプロセスがわかってよかったです。楽しい時間をありがとうござました。明日からの業務に何か少しでも役立てたいです。
参加者へのメッセージ
EBM研修会に参加したことで,次の日の診療に何か変化があることを期待しています。「継続は力なり」,毎日ではなくても時々研修会で学んだことを思い出して実践していきましょう。
左から,主催者3名,南郷先生,チューター2名 |
集合写真 |
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