平成24年5月23日広島大学医学部にて楢戸健次郎先生の講演会を行いました。
楢戸先生は1972年に千葉大学医学部を卒業、家庭医になるために当時としては珍しく大学の医局に属さず、様々な医療機関を渡り歩いて武者修行され、北海道で20年以上地域医療に従事されました。その後、日本キリスト教海外医療協力会からの派遣でネパールの地域医療に携わり、現在はご自身でNGOを立ち上げネパールの地域医療を支援されています。
昼と夜の2回講演いただきました。昼の部はふるさと枠学生全員に、夜の部はその他学生と職員向けに行いました。参加者は学生が多かったため、「地域医療とは何か」といった初歩的な事柄から説明があり、プライマリ・ケアの存在意義、国際医療などについてもレクチャーいただきました。引き続きスライドを使ってネパールの医療の現状、特にへき地における医療やそれを支える社会インフラなどについて説明がありました。
家族に背負われて何日もかけて診療所まで来る人達、家の手伝いのため高所で作業し転落・骨折する子供たち、13歳で出産する妊婦など日本では見られないような患者さんのスライドを見せていただきました。
飾らないお人柄、一本筋の通ったキャリア、現場に密着しているゆえのリアルさ、何事に対してもひたむきな姿勢、こういったものが楢戸先生の言葉や表情の端々に滲み出ていて、説得力をもって我々の心に迫ってきました。学生達も大いに感銘を受けたようでした。
(文・写真 広島大学医学部地域医療システム学 松本 正俊准教授)
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