平成24年2月14日17時から広島大学医学部において地域医療学講演会を催しました。
講演者はオーストラリアLa Trobe大学地域医療学部長のJane Farmer教授。演題は「オーストラリアとスコットランドのへき地医療」「へき地における医療者主導の社会起業」の2題でした。
広大な国土を持つオーストラリアと、島国であるスコットランド。それぞれのへき地医療の類似点、相違点を分かりやすく説明してもらいました。日本同様に人口流出が顕著なオーストラリアのへき地に対して、スコットランドでは中高年を中心とし、人口のへき地への「回帰」が見られるとのことでした。開拓者によって切り開かれたオーストラリアのへき地と、何十世紀も人が根を張って暮らしてきたスコットランドのへき地では人々持つ「へき地」のイメージもかなり違うようです。はたして日本のへき地はどうでしょうか。
続いて社会起業の話がありました。社会起業というのは、ボランティア、NPO活動、企業活動等によって地域社会を活性化することを意味します。平たく言うと「まちづくり」です。Farmer教授がSocial Science & Medicine等に発表された研究をもとに、英国とオーストラリアのへき地において、医療者が主体となって社会起業を展開した事例の紹介がありました。へき地の医療者が喫茶店を開いて町の人たちのコミュニケーションを活性化する事例など、たいへんユニークなものがありました。日本の地域医療においても大いに参考になると思われました。
講演後は吉栖医学部長をはじめ、参加者全員から質問があり、活発な議論がありました。
(文・写真 地域医療システム学講座 松本正俊准教授)
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