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医師インタビュー(雄鹿原診療所:東條環樹先生)

ひろしまで活躍する医師の、生の声をご紹介!医師インタビュー

田舎だからこそ、先進的であるべき。
医師として向上するために、挑戦の日々。

雄鹿原診療所(山県郡北広島町荒神原)
所長 東條環樹先生

プロフィール

1996年
自治医科大学卒業、広島県職員として採用
1997~1998年
臨床研修
1999~2000年
三次中央病院勤務
2001~2002年
八幡診療所所長
2003年
後期研修
2004~2005年
八幡診療所所長
義務年限の終了により広島県を退職、北広島町職員となる
2006~2007年
八幡診療所・雄鹿原診療所所長兼務
2008年~
雄鹿原診療所所長

写真1

地域医療に携わるようになった経緯を教えてください。

研修が終わってすぐは総合病院で消化器内科の医師として働いていました。もちろんやりがいもありましたが、約10年前に、自治医科大学の義務年限中に八幡診療所(雄鹿原診療所より約10km)に赴任したことがきっかけで地域医療に興味を持ちました。特に在宅緩和ケアの分野は「本気でやりたい」と思うようになりました。よく「病気を診るか、患者を診るか」という言い方がされますが、私の場合、「患者を診る」ことを望んだということになります。それに、もともとアウトドア好きだったこともあり、北広島町の豊かな自然がとても気に入りました。

写真2

東條先生が勤務する、雄鹿原診療所

どのような医療を心がけていらっしゃいますか?

写真3

外来診療というと、病気に対して薬を出すことが医療だと思われがちなのですが、それはほんの一部であり、本当に大切なのは健康増進と予防です。患者さん1人1人が自分の体に興味を持ち、長期にわたって健康維持できるようにすることが、私の本来の役割だと思っています。そのために定期健診の受診を促進するなど、地域住民への教育を徹底して行っています。私も、患者さんの健診結果を単にコピーして残すのではなく、数値を手作業で入力するなど、経年変化を把握できるよう努めています。地域の元気を増進するための医療を行いたいと考えています。

地域医療ならではの難しさとは、どのようなことですか?

刺激が少ない田舎では、医師としてのモチベーションを高く保つことが非常に大切です。赴任したばかりの頃は、自分のペースでじっくり診療できることが魅力的に思えることもありました。しかし、そこに甘んじてしまっては能力も衰えてしまいます。医師として向上するためには勉強し続けることが必要ですが、勉強を続けるためにも、常に新しいことをやろう、挑戦しようという気持ちでいます。

どのようなことに挑戦されているのですか?

  • 例えば、医学部や看護学校での講義や講演の依頼をいただけば、必ずお引き受けするようにしています。また海外の医師のホームステイを受け入れて諸外国の医療について教えてもらったり、若いドクターや学生、研修医を受入れて、後進の指導もしています。2011年には初めて在北米被爆者健診団に参加しました。総合医として学ばなくてはならないことは、まだたくさんありますが、ここに来る若いドクターの将来に役立つような経験を積みたいという思いや、医学以外の部分でも自分の見識を広げたいという思いから参加しました。
  • 写真4
    広島大学医学部での講義の様子
  • 写真5
    在北米被爆者健診でハワイへ

若い医師や学生、研修医の皆さんには、どのようなことを伝えたいですか?

「田舎の医師だから、そこまで知らなくてもいいよ」ということは決してないということです。逆に、地域医療だからこそ、あらゆる分野で一定水準以上のレベルを保つことが重要だということです。どのくらいの情報があれば正しい判断に辿り着けるのか、逆に患者さんにとっていらない検査は何なのかなど、包括的な医療を追求するおもしろさというのを伝えたいですね。

休日にはどのように過ごしていますか?

写真6
沖縄での一枚。年に一度は家族旅行へ

やはり家族との時間を大切に過ごしています。特に冬は、雪がたくさん降るので子どもたちと一緒にスキーを楽しんでいます。子どもたちは北広島町生まれなので、私なんかより、よっぽど上手いですよ。同じ大会にも出ますが、私はまったく勝てません。子どもたちは一年中野山を駆け回り、子どもらしく勉強嫌いになっているようですし(笑)、のびのびと育ってくれています。

子どもさんの教育面はいかがですか?

写真7

うちの子どもは、上から小学校5年生、4年生、1年生、幼稚園年中です。小学校は全校生徒十数名のうち、3人がうちの子です。地域医療に携わる医師にとって、子どもの教育は大きな課題だと言われています。確かに都市部に比べたら教育環境は恵まれていませんが、今はあまり心配していません。せっかく素晴らしい自然環境に生まれ育っているので、本人の勉強する意思に差し障らないなら、この環境を存分に楽しんでもらいたいですし、ここでしか学べないこともたくさんあります。高校進学を考える時期になって、子ども自身が「もっと勉強したい」と言えば、もちろん応援します。その時に、通学方法なども含めて、また考えれば良いのではと思っています。

最後に、広島県での地域医療に興味を持っている医師の方へ、メッセージをお願いします。

生活面では、この周辺にはコンビニもないですし、不便は不便です(笑)。でも、無くて困るということもありませんし、私は不便を楽しむ気持ちで過ごしています。医療に関しては、地域医療には、病院の医療では学べないことがたくさんあるということを知ってもらいたいと思います。体力も精神力も必要ですし、医師のキャリアとして重要なことがたくさん経験できるので、若い医師の方に、積極的に地域医療を経験して欲しいと思います。

 
(2011年11月)


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