トップページ >  地域と暮らしのお役立ち情報 >  子育て支援 >  子育て応援コラム > 理想の保育者像   富田 雅子

理想の保育者像   富田 雅子

 先日、外で食事をしている時、近くに座っている女性たちの会話が私の耳に飛び込んできました。
 「私ね~、今、○○保育園で給食を作っているの。子どもに手がかからなくなったので、私も何か仕事が出来ないかな~って思ってね。専業主婦だった私にできることと言えば、家族に美味しい食事を作ること。それでね、子どもたちに給食を作る仕事に就いたのよ。」
 そして、こう続けました。「この頃の若い先生、茶髪の先生もいるのよ。この前もまた髪の色がどんどん明るくなっている先生がいて注意したの。」「出来ちゃった結婚もダメ、茶髪もダメ。あなたたち、あんなふうになってはダメよ」ってね。
  「あんなふう」とはいったいどんなふうなのでしょうか。会話の内容から、その園に通ってくる保護者たちのことであることが想像できました。その人は人生の先輩として、結婚や妊娠、子育てについての考えがあり、理想の保育者像からすると髪の色を染めるなんて言語道断ということなのでしょうか。
 奇しくも、保育者養成に携わっている私の耳に入ってきてしまったこの発言。この発言に物申したい気持ちを抑えながらそのお店を出たのでした。
 
 帰宅した私は、先日、保育研究大会で多くの保育者の皆さんにお会いする機会があったことを思い出しました。確かに、保育者のみなさんの髪の毛の色は様々で一様に黒髪であったというわけではありません。多くの方は自然な感じで髪を明るく染めていらっしゃるし、中には個性的と思えるほどの髪色の方もいらっしゃいましたが、どなたも真剣に保育について学ぶ熱意に満ちていました。
 そして、もう一つ、ある医療ドラマに登場したドクターのことも思い出しました。医療チームの中の一人に髪を茶色に染めたドクターがいましたが、もちろん仕事となれば顔色を変えて病と闘う姿を描き出しています。髪の毛の色が保育や医療に何か影響はあるのでしょうか。少なくともこの医療ドラマの制作者には髪の毛の色に対する偏見はなさそうで、むしろその逆を主張しているように思えます。   
 
 
 
 人を見た目で判断してはいけないと言いますが、保育を学ぶ学生が実習に行く際には、本来の髪の色に染め直して実習に行くという指導がなされている事実もあります。
 何かを見習い教えを乞う立場として、自らの素の姿で臨むという姿勢が必要であるという事なのでしょう。
 よく学生から質問を受けます。「どうして黒に染めないといけないんですか?実習が終わったらまた直ぐに明るく染めるのに。」と。
 そんな時、私は答えに少し戸惑います。「中身で勝負したいよね。外見じゃなくて。私はみなさんにそう言い切れる保育者になってほしいと思っている。」と。でもあまり説得力がないようで、学生の顔もすっきりしません。
 しかし、保育の経験者として思う事は、「空の青さ、夕焼けの美しさ、水の冷たさなど自然のありのままの美しさを子ども達に伝えたいと思うとき、次第に自分もできるだけ自然体でいたいと思うようになった」と伝えると、少し顔色が変わります。
 世の中が刻々と変化する中で、何が正しくて何が間違っているのかを見分けるのは本当に難しいと感じます。
 大切なのはいつの時代も子ども達の健やかな成長が一番であり、それが保障されること。そのために、新鮮でエネルギッシュな感性を持つ若者と腹を割って「なぜ」「どうして」に向き合っていきたいと思う今日この頃です。
 
 
コラムに対するご意見,ご感想をお寄せください。


このページに対するアンケートにお答えください。

このページは見つけやすかったですか?

このページの内容はわかりやすかったですか?

このページは参考になりましたか?


このページの先頭へ戻る